アリバイアイク
微笑いがいっぱい
はじめに
今作はラードナーのアリバイアイクに収録されています。
軽い都市伝説が小説になったらこんな風になりそうです。
野球を題材にした小説が多く収録されています。表題作のアリバイアイクも調子が良くても悪くても言い訳ばかりするアイク選手の話。
調子の悪い時の言い訳なら分かるけど良い時も言い訳する人って面白いですよね。そんな人会ったことない。
微笑いがいっぱいは微笑ましい話なんたまけど、最後ちょっと悲しい。
あらすじ
毎日、ユーモアたっぷりに交通整理する巡査とスピード狂の若い美女の淡い恋ものがたり。
これから永遠に続く拷問の始まりのように
僕はすごく野球が下手です。
嫌いではありません。
応援しているチームがあるわけじゃないのでどのチームが勝っていても楽しめます。
好きなポジションはキャッチャーです。
どしってかまえててかっこいい。
その日はとても良く晴れていた。
空はさっき絵の具で塗りつぶしたばかりの水色だった。
遠くの方を鳥が飛んでいた。
体育の授業中で、生徒が動くそばからそこに舞った砂を風がさらっていった。
サッカーゴールが遠くでガタガタと音をたてていた。
僕は外野を守っていた。
頼むからこっちにボールが飛んできませんようにと祈っていた。
眩しくて目を半分しか開けていられなかった。
出来ることならそのまま目を閉じて開けたら全てが終わっていて欲しかった。
バットがボールに当たる気持ちの良い音が鳴った。現実に引き戻される渇いた音。
白い球はグラウンドに何度か当たりながら勢いよくこっちにやってくる。
グローブを構えるも、球は僕の横を通り抜けていってしまう。
振り返るとどこまでも続く砂の中に白い球が吸い込まれていくところだった。
これから永遠に続く拷問の始まりのように感じられた。
慌てて取りに走り出した。
僕の靴が地面を蹴る音なのか、心臓の音なのか、もうよく分からなくなっていた。
早く終わらないかな。
それだけを考えていた。
ヘタな人にも良いところは沢山ある
あの頃学んだことは2つ
- スポーツがヘタだといじめられるということ
- ヘタな人にも良いところは沢山あること
皆どうかしていたと思う。
それが全てのように思える時期。
でもそうじゃなくて。
今となっては自分の思い出かどうかさえ怪しい。
小学生や中学生で、野球やサッカーが出来なくても大したことないし、それが全てのコミュニティなんで本当に大したものじゃない。
試合に勝つことも大事だと思う。
負けたとしても仲間を支える人間であることも大事だと思う。
どちらも人として大切なことだと思うし、気に入る方は人によって違うと思う。
みんな違ってて楽しい。それでいいじゃないか。
大人になったら辛かったけど大したことなかったなって思えるから大丈夫だよって今すぐ教えてあげたい。
最後に
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くれた人のことずっと好きになります。
rikichan