そこにはもしもたぶんもない

愛し合う二人に代わって

 


二種類の小説

 


小説には二種類の本がある。

ひとつは音楽的な小説。

もうひとつは絵画的な小説。

この話は音楽的な小説だと思う。

なぜなら、物語の細部までありありと描くというよりかは、自然と流れるように進み、気持ちの良いところで静かに終わっていくから。

 


あらすじ

 


あまりぱっとしない外見のインテリなウィリアムと、美人で派手っぽいブライディーは高校時代には仲良くなり、気は合うんだけどそれより先にはなかなか進めない。

なぜなら、彼は内気すぎるし、彼女は自分の夢にしっかり目がいってる。

そんな中、アメリカの世相はあまり良くない方向へと向かっていて…。

 


そこにはもしもたぶんもない

 


気が合うけれど、その先にはなかなか進めない2人の男女。そのどちらかになったことはありますか?

 


話をしていて楽しいし、感じのいい人だなと思うけど、その先へは進めなくてそのまま卒業してしまう。

 


何年かたった後で。

僕はその子に子どもが産まれたことを知って、写真で見ると目が似てることに気づく。小さい顔の中で一際目を惹く大きな目。笑った顔もそっくり。目尻が細くなって少し垂れるところとか。僕の隣で笑ってたあの頃が懐かしくなる。幸せそうでなにより。

その写真の笑顔までにはきっと些細なことで喧嘩をしていたり、うまくいかない日々に悩んでいたこともあるだろう。

そんなことを想うと僕と彼女との間にはもう埋められない空白があることに気づく。

そこにはもしもたぶんもない。

 


BUMP OF CHICKEN

 


彼女が好きだと言ったロックバンドの歌がある。

BUMP OF CHICKEN。とっておきの唄。

今はあんまり聴かなくなったけど、空白はもう埋められないけど、ときどき少しホコリをかぶった思い出をそっと拭おうと思う。

懐かしく、心を温めてくれる思い出です。

 

 

 

とてもストレートな物語です。

 

 

 

rikichan